Q1)ぎっくり腰で、もんじゃダメなんでしょ?
A1)まずは、大まかに説明します。
いわゆる普通にイメージするマッサージを、(受傷直後からの急性期は特に)患部に施術することは、ダメでしょう。
しかしながら
そこで、思い出して欲しいのが手当てです。お母さんが、転んだ我が子を「大丈夫、痛いの痛いの飛んでけ」と言ってトッサに「なでなで」する。
それこそが、手当て そのものなんですね。
我々の施術もそこが原点でないといけない。また、人間は生命を持った動物である限り、本能は必ずあるし、自然治癒力もある。そして、その自然治癒力を活かす方法が、手当てです。
ぎっくり腰でも、大きな怪我でも、「さする」「なでる」という行為は、本能に根ざす限り、痛みを抑え回復を促進する有効なものです。
ただ、残念ながら深く考えもせず、炎症の激しい急性期の症状に平気で揉んでしまう
施術者や治療院があるようで、無用の誤解や不安や偏見が広がっているようです。
それが、最近多いQ1の質問につながっているのでしょう。
乳がんの専門医で有名な慶応医学部の近藤誠先生も最近の著書で、手当ての効用を書いています。一部引用すると「愛情をこめて、手を当てる。最もシンプルで、医療がどれだけ進歩しても、何ものにも代えがたい、癒しの原点です。痛みも苦しみも、『愛情に満たされる』『不安がやわらぐ』ことで、驚くほど軽くなったり、症状が消えたりします。」
この手当てと揉むという行為は、この場合 明確に区別するべきです。
一見似ているから、と早合点して、手当てをしているのに、「ダメなことをしている」と思われるのは、残念で仕方ないですね。
自律神経の視点で大まかに、説明すると
手当てとは、交感神経の過剰な興奮を鎮め、副交感神経を優位にして安心感を高め血流を適度に保ち、治癒力を高めるもの
揉むのは、急性期では特に、副交感神経を低下させ、交感神経をより緊張させることで、血流を阻害し、治癒力を阻害するもの。炎症が激しい場合は、出血を助長し、もっと炎症を激しくして、結果的に痛みを激しくする場合もあるでしょう。
といえるでしょう。
当院では、揉んでいるように見えても 手当てをしているんです。
安心して通院して下さいませ。
補足して付け加えます。
施術後は、固定が大事です。腰の場合はコルセットを適切な状態で、約3週間を目安に巻いてもらう事が重要です。腰以外の怪我でも、包帯を巻いてもらう事が重要です。
自律神経でいえば、包帯が、手当ての代わりに副交感神経を刺激してくれるのだと思います。
Q2) 転んじゃったんで、もんじゃダメでしょう?
A2) この質問者は、怪我をしたから接骨院に通うのを一時、辞めようと思っています。誤解があって残念ですね。
本来、接骨院は、骨折、打撲、捻挫などの怪我を専門に施術をするところなんですね。怪我をして、怪我を治すところに行くのを中断しようとしている。
もったいない ですね。
Q1)で詳しく説明したように、手当てをすることで、より一層早く回復します。
包帯を巻ける場所なら巻いた方がいいですね。
ところが、大怪我というわけでなく、本当に軽い微妙な怪我というのもあるんですね。確かに病院に行く程でもないけど、少し痛む。確かに包帯を巻くほどの大げさなものでもない。
その場合、見た目にはほとんど分かりません。ゆえに、施術者(私)に予め言ってもらう必要はあります。
そうすれば、患部をいつも以上に手当てをすることが出来ますから。
自律神経の視点でいえば
そもそも怪我をするのは、副交感神経が下がって血流が低下している事が、背景にあります。(季節の変わり目などの環境要因、不安心配悩み事などの心理的要因などで、副交感神経は下がります。)
何もしなくても、軽いけがなら治ります。しかしながら背景にある副交感神経の低下はそのままの場合が多く、また、怪我をしやすいし、別の病気にもなりやすいんです。
だから、「転んでもただでは起きぬ」「怪我の功名」「災い転じて福となす」
といった発想が必要ではないでしょうか。
手当てをして、副交感神経を上げるチャンスだと思います。
ちなみに、痛み止めは血流を抑える薬で、湿布薬もまた、そうなんです。一時的に痛みを抑えるために患部の血流を悪くするんですね。厳密に言うとその分治りは遅くなるんですよね。だから、湿布薬はなるべく、短い期間に抑えるように当院では、しています。